坂上忍が「30歳で実家に住むって…」と発言した件が話題になっている。覚せい剤よりも実家暮らしの話が盛り上がるとは、何とも日本らしさが出ている。
日本では無条件に実家暮らしを否定する人間が多い。しかし実家暮らしが良くない根拠についてちゃんと話す人は少ない。
実家暮らし反対派は反論できなくなるとすぐ「マザコン」だとか「甘えだ」と暴言を吐くからだ。
実家暮らしを批判する者たち
私は30歳を過ぎて実家暮らしのため、周りから「一人暮らししないの?」と言われることは何度もある。理由を聞いても「いや、自立したほうが」と返ってくるだけ。実家暮らしを否定するのは決まって20~30代の人間だ。
同じ話を50代以上の人とすると「お母さんを大事にしいや」と言われる。実家暮らしを否定する人は誰もいない。50代にもなると親の介護という現実に直面したり、自分自身の健康面にも不安が出てくる。そういう立場だと、家族は一緒にいるほうがいいと考えるようになるのだろう。
実家暮らしを頭ごなしに否定して「自立しろ」と牙を向いてくる人間たちは、周りが見えていなくて、自分の見栄しか考えていないと分かるのである。
実家暮らしのデメリット
ここまで書くと、実家暮らし反対派が怒り出しているはずなので、実家暮らしのデメリットについてもいくつか挙げていく。
結婚が遠ざかる
実家暮らしの男を嫌がる女は多い。「マザコン」とか「自立できてなさそう」という目で見てしまうし、結婚が面倒だと考える。
女でも男でも、自分の親以外の人と暮らすことにストレスを感じない人は少ない。
妹が結婚した直後、まだ住む家が見つかっておらず、しばらく婿と同居していた。母は一見普通に振る舞っていたが、あるとき職場で呼吸困難を起こして病院に直行した。
診断の結果は精神的なストレスからくる発作で、婿と生活しているのがストレスになっていたのは本人も分かっていた。例えるならば、マスオさんとの同居生活に耐えきれらず倒れるフネさんである。
結婚相手と一緒に親が付いてくると考えたら、結婚を考えている人がそれを障壁だと思うのは間違いないだろう。長男と結婚したくないと言う人もいる。
友人を呼びにくい、交友関係が狭まる
実家暮らしで家族がいると友人を家に呼びにくい。私などはそもそも友人がいないので全く気にしないが、学生時代のノリで家で酒を飲んだり騒いだりするのが好きな人にとっては、実家を使えないのはデメリットだと言える。
だが、家で好き放題しようと考えるのはせいぜい30代まで。妻帯者になると付き合いが悪くなって家に遊びに行ったりしないし、会社の同僚が友達になるケースは少ないので、わざわざ家に呼んだりしない。
実家を離れる人の事情
実家暮らしを否定する人は周りの目を気にしすぎる見栄っ張りだけだと言いたいが、実はそうでもない。実家に住むメリットを理解しながらも家を出て行く人はいる。
兄弟姉妹と仲が悪い
兄弟姉妹の数が増えるほど実家暮らしは苦痛になる。兄弟姉妹が3人以上になると、ほぼ間違いなく対立関係が生まれる。私の周りにも兄弟間でのソリが合わないと言って家を出たがっている人、すでに出ている人は多い。
親と仲が悪い
親を嫌っていたり、親の言うことに納得できない人は自立の気持ちなど関係なく家を飛び出す。もはや親に干渉されるのが嫌すぎて、貧乏になろうが生活が大変になろうが一人暮らしの道を選ぶ。親からの虐待、ネグレクトなどのケースは本記事では語らない。
何でも自分でしたい
炊事、洗濯、掃除、何でも自分のスタイルでやりたい人。結婚するわけでもなく、自分の世界で生きている人はメリットを度外視して何となく家を出る。まさにパーフェクト・ヒューマン。
職場に近い
「職場に近い」というのは、金に代えられないメリットがある。実家暮らしのメリットを超えると感じれば、家を出る選択肢は十分に考えられる。
結婚する
先述したように、自分の子供以外の人間と暮らすのは親にとって異常なストレスになる。私の母は、妹家族(特に婿)と離れて暮らすようになり発作が一度も起きなくなった。
婿はまったく悪い人間ではないのだが、「自分の息子(私のことです)と同じようには思えない」と母は言った。”血が繋がる”ってそういうことなんだと思わされた。
『サザエさん』の関係や、嫁姑の関係が上手くいく関係は、決して簡単に作れるものではない。相当フィーリングが合ったか、コミュニケーション能力が高すぎるか、そういう人たちでないと同居はストレスの原因でしかない。
結婚するなら絶対に家を出ていかなければならない。育ててくれた親のために。
結婚しないなら家を出る理由はない
逆に、結婚する予定が無いのなら家を出るべきではない。金は使わないし、生活面でも楽になるし、メリットばかりだ。
どうしても自活したい理由があるのなら仕方ないが、「自立」という脅迫的な言葉に負けて家を出るのはお勧めできない。核家族を推奨しない政府のプロパガンダに騙されてはいけない。
元同僚に、地方から大阪に来た人がいる。ある日、故郷に一人置いてきた母親が倒れて大変な様子だった。容態を確認したり手術の話をするために、遠い遠い実家に足しげく帰っていた。
今は健康だとしても、いつ、何があるかわからない。結婚しないなら親から離れて暮らす必要性は一切ない。
暮らし方は周りに流されず選ぶべき
暮らし方はその人の環境に合った環境で決めるもので、30歳の実家暮らしが悪いとか、男は自立してナンボだと決めつけて否定する人間は間違っている。
坂上忍が50歳になっても「30過ぎて実家暮らしかよ」と幼稚なことを言っているのは幼少期のトラウマから抜けられていないからだろう。
ギャンブル狂いで暴力を振るう父親から離れるために自立の道を選んだ坂上にしてみれば、実家でぬくぬくと暮らしている人間は許せないのだ。
やむなく家を出るしかなかった人は実家暮らしを必要以上に否定する。彼らも当然実家暮らしのメリットを知っているだろうが、だいたいは嫉妬か見栄である。
すでに書いたように、結婚するなら実家で暮らしてはいけない。結婚相手にも親にも迷惑が掛かる。結婚しないなら親の最期を見届けるつもりで家にいよう。結婚しないけど実家は嫌だという人は、遠くに行かず、親が見える場所で暮らすのがよい。
人には様々な事情がある。何となく周りに流されて「実家暮らしが気持ち悪い」と断言する人間には、その考えを改めてもらいたい。
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