37歳、手取り10万

人生

手取り10万円―――37歳独身男の信じがたい月収である。

今、画像を見てるほとんどの人が笑顔になっていると思う。自分より哀れなやつを見て嬉しくなったか、自分に近い給料を見て安心したか…、人間なら当然の反応だろう。

本日6月28日は勝ち組労働者の『夏のボーナス』支給日らしい。これはボーナスでも寸志でもない。

半年働いても健常者のボーナスの平均額にも届かず、障害者より低い賃金で働いている敗北者がここにいる。涙が止まらない。

37歳で手取り10万円。精神的にしんどい仕事はしたくなかったし、しなかったからこうなった。

今の仕事に就いて一年が経つ。朝は5時に起きて、帰宅はホワイト労働者よりも遅い。自由に使える時間は少ない。睡眠時間は平均5時間。それでこんな給料だから、いっそ死んだほうがマシだと思えてくる。

ところが、何とか仕事は続いている。一番の理由は「ストレスの無さ」だろう。

一日が終われば全てから解放される。仕事の積み残しや持ち帰りは無い。家でも翌日の仕事のことなぞ一切考えない。土日、祝日もだいたい休んでいる。会社からの電話に怯えることもない。翌週のプレゼン準備をすることもない。仕事以外の時間を100%全力で過ごしている。

良いところだけ挙げていくと最高の仕事に思えるが、給料は見ての通りである。家賃を振り込むと通帳残高が0になる。贅沢できないし昼食を抜くこともしばしば。お金が足りなくなるとカード会社に連絡をして食いつなぐ。

ギリギリでいつも生きていたくない。将来の蓄えが何もない。事故や病気になって働けなくなった瞬間に「死」が待っている。そう考えたらとても恐ろしい。

障害者よりも低賃金で働いていることにも不満がある。障害者の平均月収は身体23万円、知的11万円、精神16万円という調査結果が出ているので、こと労働に関して自分は知的障害者と同じレベルなのだろう。

職場の共用トイレをゴミだらけにする悪い精神障害者、同僚に挨拶できないコミュニケーション能力ゼロの精神障害者。俺はそれより下級な労働者なのだ。受け入れ難い。障害者も良い職場に入り込めばボーナスを貰えるのだ。要領が良くて羨ましい。

悔しい。あまりにも悔しい。何なんだこの人生は。

今、見返したい人間たちがいる。仕事で企業や官公庁に行くと、社員・職員の尊大な態度が鼻につく。特に気に入らないのは、役職も仕事もなく毎日定時で帰っているような連中だ。

不思議なもので、いや当たり前のことかもしれないが、上に行ける人は人間が出来ている。永遠にヒラ止まりの奴ほど業者に対して偉そうで、態度が悪い。人間として尊敬できない奴らに絶対負けたくない。障害者より賃金が低い云々は、実は大した話じゃない。

貧困から抜け出したい。でもぬるい生活を手放すのは難しい。厳しい職場でうつ状態になったことを思い出すと、今でも汗が出てくる。また同じことの繰り返しになるのではという恐怖が二の足を踏ませてしまう。今の手取り10万円が自分の丈に合った働き方なのかもしれない。

それでも上を向いて生きないといけない。嫌なやつらに見下されたまま人生を終えたくない。

今日もがんばろう。負けない強さを持つしかない。

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